先に立場を明かします
株式会社TOEは福岡のWeb制作・AI開発の会社で、会社概要ページの改修を請け負いうる利害関係者です。この記事の土台は、当社が2026年8月1日に福岡県の金属加工業45社を実測した結果です。効果(引用が増えた等)は測っていないので書きません。
結論(先に表で)
45社を実測し、AIが確認できた事実を項目別に数えた結果です。保有率の低い順に並べています。
| AIが確認できた事実 | 社数 | 割合 |
|---|---|---|
| 事業内容が具体的に分かる | 45社 | 100% |
| 主力製品・サービス名が分かる | 44社 | 98% |
| 所在地が分かる | 44社 | 98% |
| 従業員数・売上規模が分かる | 43社 | 96% |
| 設立年が分かる | 42社 | 93% |
| 取引先・納入実績が分かる | 34社 | 76% |
| 報道・業界メディアで取り上げられている | 14社 | 31% |
上5項目は、ほぼ全社が満たしています。 つまりここは差がつきません。会社概要に書いてあれば確認できる情報だからです。差がつくのは下2つで、そのうち1つ(納入実績)は自社サイトで書ける項目です。
会社概要ページでやるべきことは、上5項目を落とさないことと、6番目を自力で埋めることです。
前提:会社概要ページはAIにとって何か
AIが会社について答えるとき、根拠にできるページは限られています。当社の実測では、45社中42社(93%)でAIが公式サイトを根拠に説明できていました(福岡県の金属加工業45社をAIに聞いたら、42社は説明できた)。
つまり、会社概要ページはほぼ確実に読まれています。 そのうえで説明が薄くなるとしたら、それは読まれていないからではなく、書いていないからです。
一方で、読まれていないケースも存在します。当社が自社を測ったときは、AIが根拠にした6サイトに自社サイトが1つも入っていませんでした(AI検索対策を売る会社が自社を測ったら10点だった)。この場合は会社概要を書き直す前に、名乗りの固定が先です(AIが別の会社の説明を返してくるとき、何をすればいいのか)。
書く項目と、書き方
1. 正式社名(表記を1つに揃える)
- 「株式会社〇〇」と省略なしで書く
- 英語表記を決めて、サイト内で統一する
- ページタイトルの末尾に社名を入れる
サイト内で「株式会社〇〇」「〇〇(株)」「〇〇工業」が混在していると、AIから見て同一の対象だと確定しにくくなります。
2. 所在地(都道府県から番地まで)
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 福岡県内 | 福岡県福岡市中央区渡辺通1丁目9-3 |
| 本社・工場あり | 本社(福岡市中央区)/第二工場(福岡県糟屋郡) |
地図の画像だけで済ませないでください。 画像の中の文字は読まれにくい形式です。地図を置くのは構いませんが、住所は必ず本文としても書きます。
3. 設立年・沿革
- 設立年は西暦で書く(「昭和58年」だけにしない)
- 沿革は箇条書きにする。年と出来事を1行にする
沿革は軽視されがちですが、「いつから何をやっている会社か」はAIが説明を組み立てるときに使う情報です。設備導入・工場増設・認証取得は、そのまま実績の記述になります。
あわせて、法人番号(13桁)を1行載せておくと、対象が一意に確定します。 国税庁の法人番号公表サイトで誰でも確認できる公開情報で、同名他社との区別には最も強い材料です。載せている中小企業はまだ多くありませんが、書いて困るものではありません。
4. 事業内容(業種名で止めない)
ここが最も差が出ます。
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 金属加工業 | ステンレス・アルミ・鉄の精密板金加工、および機械加工 |
| 各種製造 | 半導体製造装置向け部品の切削加工(板厚0.5〜12mm) |
| ITサービス | 業務システムの受託開発(Web/基幹連携)、AI導入支援 |
当社がPerplexityで実測したとき、引用されていたのは次のような箇所でした。
- 「0.03mm〜1.0mmの極薄板溶接に対応」
- 「多品種小ロットで対応」「1点から製作」
- 「マシニング加工、NC旋盤加工、5軸加工に対応」
逆に、「高品質」「短納期」「お客様第一」といった抽象的なキャッチコピーの箇所は引用されていませんでした(ChatGPTやPerplexityで自社が出るか、実際に測ってみました)。
5. 規模(従業員数・資本金)
- 従業員数は人数で書く(「少数精鋭」では情報になりません)
- 資本金は金額で書く
- 売上高は開示できる範囲で
「小さい会社だから書かないほうがいい」と考える必要はありません。 発注側が知りたいのは規模の大小そのものではなく、依頼する仕事の量に見合う会社かです。書かないと判断材料が消えます。
6. 設備・体制(あるものを全部書く)
| 書くもの | 例 |
|---|---|
| 設備 | マシニングセンタ3台、5軸1台、NC旋盤4台、レーザー加工機1台 |
| 対応可能な範囲 | 最大加工寸法、対応材質、対応板厚 |
| 認証 | ISO 9001(2015年取得)、ISO 14001 |
| 体制 | 設計2名、製造12名、品質保証2名 |
設備一覧は「専門的すぎて読者に伝わらない」と思われがちですが、発注側は型番で探します。 そしてAIも、型番や材質のような固有名詞を手がかりにします。
7. 取引先・納入実績(76%しか満たせていなかった項目)
ここが自力で埋められる、最後の差です。
取引先名を出せないケースが多いのは承知しています。出せない場合でも、業界と用途は書けます。
| 出せない場合の書き方 | 例 |
|---|---|
| 業界で書く | 半導体製造装置、食品機械、建設機械、医療機器 |
| 用途で書く | 搬送装置のフレーム、検査装置のカバー類 |
| 規模で書く | 年間約1,200件の受注(うち試作単品が約4割) |
| 期間で書く | 大手装置メーカー1社と20年以上の継続取引 |
社名を伏せたまま、実績の輪郭は書けます。 45社の実測で、この項目を満たせていたのは34社(76%)。11社は、書けば埋まる差を埋めていませんでした。
会社概要ページでやってはいけないこと
- PDFの会社案内へのリンクだけにする。 PDFの中の文字は読まれにくい形式です
- 画像1枚に会社概要表を焼き込む。 同上です
- 「詳しくはお問い合わせください」で止める。 AIは問い合わせできません
- 検証できない最上級表現を書く。 「業界No.1」「唯一の」は、AIに引用されたとき誤情報の出所が自社になります
- 他社と同じテンプレート文をそのまま使う。 差がなければ、AIから見て選ぶ理由もありません
7項目を満たしても埋まらないもの
実測でいちばん落ちていた項目は、報道・業界メディアで取り上げられている(14社・31%)でした。
ここは自社サイトの記述では動きません。 所在地や設立年は自分で書けば済みますが、第三者に書かれるかどうかは自分では書けないからです。会社概要を整えたあとの作業は自社サイトの外側でやることになります。
Ahrefsが75,000ブランドを分析した相関分析でも、AI検索での可視性と最も強く相関していたのは外部でのブランド言及(相関係数0.664)でした。ただし相関は因果ではありません。
よくある質問ページを、会社概要の一部として使う
会社概要ページに入れると硬くなる情報を、よくある質問(FAQ)ページに逃がせます。
| 質問の形 | 中身 |
|---|---|
| 対応エリアはどこまでですか | 九州全域。関東・関西も配送実績あり |
| 最小ロットはいくつからですか | 1個から。試作単品が受注の約4割 |
| 図面がなくても相談できますか | 手書きスケッチ・現物からの製作にも対応 |
| 見積の回答は何日かかりますか | 標準2営業日、簡易なものは当日 |
| 短納期はどこまで対応できますか | 最短3営業日の実績あり(内容による) |
質問文を、実際にお客様が言う言葉のまま書いてください。「弊社の最小ロットについて」ではなく「最小ロットはいくつからですか」です。AI検索と相性がよい理由はFAQ・Q&A形式は、なぜAI検索に取り上げられやすいのかにまとめています。
そしてこれは当社が実際にやらかした注意点ですが、FAQページの中身が他メディアのものと入れ替わっていないか、公開後に必ず確認してください。 当社は自社サイトのFAQに、別で運営している宇宙開発メディアのFAQ(ロケット部品、JIS Q 9100、アルテミス合意)が12問そのまま残ったまま公開していました。サイトマップにも登録済みでした。AIがそのページを読めば、何のサイトか伝わりようがありません。
更新のルール
会社概要は「一度書いて終わり」にすると、古い数字がAIの説明に残り続けます。
| 項目 | 更新のきっかけ |
|---|---|
| 従業員数 | 年1回(期末) |
| 設備一覧 | 導入・入替のたび |
| 認証 | 取得・更新のたび |
| 沿革 | 出来事があったとき |
| 所在地 | 移転時(旧住所のページを消すだけにしない。転送する) |
更新のときに、古い数字を上書きするのではなく、いつ時点の数字かを添える方法もあります。「従業員数 32名(2026年4月時点)」と書いておけば、読む側もAIも、その情報がいつのものかを判断できます。数字を毎年書き換える手間は同じですが、更新が遅れたときの被害が小さくなります。
移転が最も事故になります。 古い住所が採用ページやPDFに残り、AIがそちらを読んで古い所在地を答えるケースがあります。対処はAIが自社について誤ったことを答えたとき、どう直すのかにまとめました。
この記事で言えないこと(限界)
- 7項目を埋めた結果、引用が増えるかどうかを当社は測っていません。 測ったのは「AIが何を確認できたか」だけです
- 実測は1種類のAI(Google Gemini Flash-Lite+Google検索グラウンディング)での結果です。ChatGPTやPerplexityでは異なります
- 母集団は福岡県の金属加工業45社です。他業種・他地域で同じ分布になるとは限りません
- 実測は1社あたり3回の合議で判定しており、実態より甘い側に倒してあります
まとめ
- 45社の実測で、AIが確認できた事実は上5項目が93〜100%。ここでは差がつかない
- 差がついたのは取引先・納入実績(76%)と報道・業界メディアでの言及(31%)の2つ
- 会社概要ページの仕事は、上5項目を落とさないことと納入実績を自力で埋めること
- 事業内容は業種名で止めない。引用されていたのは材質・板厚・数量・工程が書かれた箇所だった
- 取引先名が出せなくても、業界・用途・件数・取引年数なら書ける
- PDF・画像の中の文字に頼らない。本文として書く
自社の会社概要が、いまAIにどう読まれているかは自社がAIにどう説明されているかを、30分で調べる手順で確認できます。
本記事の実測データ:2026年8月1日、福岡県の金属加工業45社(パーツネット北九州「金属加工グループ」加盟32社+公式サイトを持つ13社)について、Google Gemini(Flash-Lite)+Google検索グラウンディングで1社3回ずつ質問し、回答と参照サイトの両方で判定した結果です。


