先に立場を明かします

株式会社TOEは福岡のWeb制作・AI開発の会社で、AI検索対策のサービスを売りうる利害関係者です。この記事に書く施策の効果を、当社は測定していません。 測ったのは「AIが何を確認できたか」という現状だけです。


結論(先に表で)

費用 難易度 誰がやるか
プレスリリースを出す(展示会・受賞・新設備・新工場) 0〜3万円 社内
業界メディアの取材を断らない 0円 経営者
産業支援機関・組合の名簿に載る 0円 総務
取引先の導入事例に社名を出してもらう 0円 営業
技術解説・加工事例を自社で出し続ける 人件費 技術+広報
講演・セミナー・見学受け入れ 人件費 経営者

この6つに共通するのは、自社サイトの中では完結しないという点です。 会社概要をどれだけ書き込んでも、この項目は埋まりません。


なぜここが問題になるのか

当社が福岡県の金属加工業45社を実測したとき、AIが確認できた事実は次のように分かれました。

AIが確認できた事実 社数 割合
事業内容が具体的に分かる 45社 100%
主力製品・サービス名が分かる 44社 98%
所在地が分かる 44社 98%
従業員数・売上規模が分かる 43社 96%
設立年が分かる 42社 93%
取引先・納入実績が分かる 34社 76%
報道・業界メディアで取り上げられている 14社 31%

上6項目は会社概要に書けば埋まります。落ちていたのは最後の1つだけでした福岡県の金属加工業45社をAIに聞いたら、42社は説明できた)。

つまり、「AIに認識される」という段階は、この母集団ではもう終わっています。 次に効くのは、AIが語れる中身を増やすことです。そして中身のうち、自力で書けない唯一の部分が第三者からの言及です。

Ahrefsが75,000ブランドを分析した相関分析でも、AI検索での可視性と最も強く相関していたのは外部でのブランド言及(相関係数0.664)でした。以下、ブランド検索ボリューム0.392、ドメイン評価0.326、被リンク0.218と続きます。

ただし相関は因果ではありません。「言及されているから引用される」のか「良い会社だから両方起きる」のかは、この分析では区別できません。この点は隠さず書いておきます。


手1:プレスリリースを出す(最初にやる)

中小企業がいちばん取りこぼしているのがここです。 ニュースになる出来事は、実は毎年いくつも起きています。

リリースにできる出来事 見落とされがちな例
設備導入 5軸マシニング導入、レーザー加工機更新
認証取得 ISO 9001、JIS認証、各種業界認証
受賞 地域の産業賞、発明賞、健康経営優良法人
施設 工場増設、事務所移転、太陽光導入
新卒採用開始、技能検定合格者、事業承継
取り組み 展示会出展、産学連携、インターン受け入れ

「大したことではない」と社内で判断して出さないのが、いちばん多い失敗です。 業界紙・地方紙・自治体広報は、この規模の情報を扱っています。

配信先は、有料の配信サービスを使わなくても構いません。

  • 地元紙の経済部・支局
  • 業界専門紙(製造業なら日刊工業新聞・日本物流新聞など)
  • 自治体の産業振興課、商工会議所の広報
  • 取引先の社内報

リリースの書き方(AIに読まれる観点で)

  • 数字を入れる。「大幅に増強」ではなく「加工能力を月2,000時間から3,200時間へ」
  • 固有名詞を入れる。 設備の型番、認証の正式名称、対象業界
  • 自社サイトにも同じ内容を載せる。 リリースを出しただけで自社サイトに何も残さない会社が多くあります

手2:取材を断らない

これは費用0円で、すでに来ている機会を捨てないというだけの話です。

  • 業界紙・専門誌の取材依頼
  • 自治体・支援機関の事例集への掲載依頼
  • 学生の職場見学、地元校のキャリア教育

掲載された記事は、第三者が書いた一次情報としてAIの参照対象になります。 当社の実測で31%しか満たしていなかった項目は、まさにこの種の掲載です。


手3:名簿・データベースに載る

無料または低額で載れる場所があります。

掲載先 費用 備考
商工会議所・商工会の会員名簿 会費内 公開名簿になっているか確認
地域の工業団地・組合の名簿 会費内 当社の実測でも母集団に使いました
自治体の企業データベース 0円 産業振興課が運営していることが多い
業界団体の会員一覧 会費内 業種別の一覧は参照されやすい

当社が45社を測ったときの母集団の1つは、パーツネット北九州「金属加工グループ」の公開名簿でした。 こうした名簿は、AIが業種+地域で会社を探すときの入口になります。


手4:取引先の導入事例に載る

難易度は中ですが、効果の質は高い部類です。 設備メーカー・材料メーカー・システム会社は、たいてい導入事例のページを持っています。

  • 設備を導入したメーカーの事例ページに、ユーザーとして登場する
  • 使っているシステム・サービスの導入事例に協力する
  • 取引先の技術資料に、協力企業として社名が載る

先方の許諾と、自社の守秘義務の確認が必要です。 出せない情報を出す必要はありません。「業界」「用途」だけの掲載でも、AIから見れば第三者の記述です。


手5:自社で出し続ける(時間はかかる)

自社発信は「第三者の言及」そのものではありませんが、引用される材料になります。

45社実測の助言としてまとめたのは次の4点でした。

やること なぜ
納入実績・取引分野を(出せる範囲で)具体的に書く AIが確認できた会社とできなかった会社で差が開いた項目
技術解説・加工事例を自社サイトで出し続ける 業界メディアや取引先が引用する材料になる
展示会出展・受賞・新設備導入をリリースにする 第三者に書かれた情報はAIの裏付けになる
社名に地域と事業を結びつけて書く 同名他社との混同を防ぐ

ただし記事の量産はしないでください。 短期間に大量のページを作ると、検索側から「順位のための量産」と見なされる可能性があります。頻度より、1本ごとに固有の数字と写真があるかです。


当社の場合:0本でした

正直に書きます。当社は、自社の他媒体からai-oni.comへのリンクを数えたところ0本でした。

当社はgtoe.info(会社サイト)、hojokin-oni.com(補助金メディア)、uchuchu.tech(宇宙開発メディア)を運営しています。それでも0本です。指名検索「aiの鬼」でも平均5〜6位で、サイト内の名乗り(タイトル・og:site_name・構造化データ・sameAs)はすべて設定済みでした。

サイトの中でできることが終わったあと、ここが残っていました。「外部で言及される」というのは、対策として語られるほど簡単ではありません。当社もまだ着手できていません。この記事は「やった結果」ではなく、「ここが残っている」という記録です。


プレスリリースの型(そのまま使えます)

「書き方が分からない」で止まることが多いので、型を置きます。A4で1枚、これで足ります。

2026年8月13日
報道関係者各位
〇〇工業株式会社

5軸マシニングセンタを導入、複雑形状部品の加工能力を月1,200時間増強

福岡県福岡市の〇〇工業株式会社(代表取締役 〇〇〇〇)は、2026年8月、
5軸マシニングセンタ〇〇(〇〇社製)を導入しました。従来2工程に分けて
いた複雑形状部品を1工程で加工できるようになり、加工能力は月2,000時間
から3,200時間に増えます。

■ 背景
半導体製造装置向けの部品で、5面加工を要する引き合いが前年比で約1.4倍に
増加していました。従来は段取り替えに1件あたり約40分を要していました。

■ 導入の効果
・段取り替えの回数を1件あたり2回から1回に削減
・複雑形状部品の標準納期を10営業日から7営業日に短縮(予定)

■ 会社概要
社名 : 〇〇工業株式会社
所在地: 福岡県福岡市〇〇区〇〇1-2-3
設立 : 1983年
事業 : 精密板金加工、機械加工
URL  : https://example.com/

【本件に関するお問い合わせ】
担当: 〇〇 / TEL: 000-000-0000 / Email: xxx@example.com

数字を3つ以上入れてください。 記者が記事にするとき、数字がないと書けません。そして同じ内容を自社サイトのお知らせにも載せてください。 リリースを出しただけで自社に何も残さない会社が多くあります。


送り先リストを一度だけ作る

一度作れば、以降は使い回せます。30分で終わります。

種別 探し方
地元紙の経済部・支局 新聞社サイトの「報道資料の送り先」ページ
業界専門紙 自社の業界紙のサイト。投稿・情報提供の窓口がある
自治体の産業振興課 市区町村サイト。企業情報の掲載窓口を兼ねることが多い
商工会議所の広報 会報誌に会員企業の動きを載せている
取引先の広報 導入事例・協力企業紹介の窓口

返事が来なくても構いません。 掲載されるのは何本かに1本です。それでも、掲載された1本は第三者が書いた情報として残ります。


社内で回す仕組みにする

続かない理由は「担当が決まっていない」ことです。次の3つを決めるだけで回ります。

  1. 月1回、リリースにできる出来事があったかを確認する場(既存の会議の議題に1行足す)
  2. 書く人を1人決める(完璧な文章でなくてよい。上の型で足りる)
  3. 出したら自社サイトのお知らせにも載せる(ここまでを1セットにする)

当社はこれを自社でできていません。 他媒体からの被リンクが0本という実測が、その結果です。書いている当社が実行できていない、という点も含めて記録として残します。

なお、自社サイト側の記述が終わっていない段階で外部露出だけ増やしても、受け皿がありません。 業界紙に載って興味を持った人がサイトに来たとき、対応条件も実績も書かれていなければ、そこで終わります。順序としてはAIが読む会社概要ページの書き方発注クエリで引用される製品・サービスページの書き方を先に済ませ、そのうえでこの記事の作業に入ってください。全体の順序はAI検索対策は何から始めるか — 中小企業の最初の90日にあります。


この記事で言えないこと(限界)

  • 効果を測っていません。 リリースを出したらAIの説明が変わったか、という前後比較はしていません
  • 相関分析(Ahrefs・75,000ブランド)は因果を示すものではありません
  • 45社の実測は1種類のAIでの結果です。他のエンジンでは分布が異なります
  • 「報道・業界メディアで取り上げられている」の判定は、AIが確認できたかどうかであり、実際の掲載本数とは違います

まとめ

  • 45社実測でAIが確認できた事実のうち、唯一大きく落ちたのが「報道・業界メディアでの言及」31%
  • ここは自社サイトの記述では動かない。会社概要をいくら厚くしても埋まらない
  • 現実的な手は6つ。リリース・取材を断らない・名簿・取引先の事例・自社発信・講演
  • Ahrefsの相関分析でもAI可視性と最も相関が高いのは外部言及(0.664)。ただし相関は因果ではない
  • 記事の量産はしない。1本ごとに固有の数字と写真があるかで判断する
  • 当社自身は他媒体からのリンクが0本。 ここは当社の宿題でもある

自社サイト側の作業が終わっているかはAIが読む会社概要ページの書き方で確認できます。


本記事で引用した当社の実測:2026年8月1日 福岡県金属加工業45社、2026年8月1日〜2日 Search Consoleおよび自社サイト間リンクの実数調査。外部調査:Ahrefs(75,000ブランドの可視性相関分析)。