先に立場を明かします

株式会社TOEは福岡のWeb制作・AI開発の会社で、この種の作業を請け負いうる利害関係者です。先に書いておくと、「AIの回答を消す方法」はありません。 この記事に書けるのは、根拠を変える手順だけです。


結論(先に表で)

誤りの出所 対処 反映までの目安
自社サイトの古い記述 該当ページを直す。旧ページは残さず統合する 数日〜数週間
同名の別会社の情報 名乗りを固定する(所在地・事業・除外の明記) 数週間〜
第三者サイトの誤り(データベース・まとめ記事) 運営者に訂正を依頼する 相手次第
すでに学習済みのデータ 直接は消せない。 正しい記述を増やして上書きを待つ 不明
AIの推測(どこにも書かれていないこと) 自社サイトに事実を明記する 数日〜数週間

まず出所を特定してください。 出所によって、できることが変わります。


前提:AIの回答は直接消せない

ChatGPTやPerplexityの回答は、その場で生成される文章です。保存された記事ではないので、「この回答を削除してください」という依頼は成立しません。

できるのは次の2つだけです。

  1. AIが参照する情報を変える(自社サイト・第三者サイト)
  2. 各サービスのフィードバック機能で報告する(回答画面の「よくない」ボタン等)

2は効果が見えにくく、当社も反映を確認できていません。実務としては1が本体です。


この問題は珍しくない

Gartnerの調査(2026年5月・n=645)では、BtoB購買担当者の51%がAIで誤情報に遭遇し、69%が営業担当に裏取りを依頼しています。

つまり、誤情報に当たった見込み客の多くは、そのまま離れるのではなく確認してきます。 これは救いでもあります。ただし、確認の手間をかけてもらえるのは、すでに接点がある相手だけです。


手順1:誤りの内容を記録する

直しにかかる前に、証拠を残してください。 AIの回答は毎回変わるので、後から「こう言われた」と再現できません。

記録する項目
日時 2026-08-13 10:30
使ったAI ChatGPT(検索モード)
質問文 「〇〇工業株式会社について教えてください」
回答全文 (コピーして保存)
参照元URL (回答に表示されたリンクを全部)
誤りの箇所 所在地が愛知県になっている
正しい事実 福岡県福岡市

同じ質問を3回投げて、3回とも記録してください。 1回だけの結果では、常に出る誤りなのか、その回だけの揺れなのか区別できません。


手順2:出所を特定する

参照元URLを1つずつ開きます。 ここで出所がほぼ確定します。

参照元に何があったか 出所
自社サイトの古いページ 自社(最も直しやすい)
同名の別会社のサイト 名前の衝突
求人サイト・企業データベース 第三者の登録情報
まとめ記事・比較サイト 第三者の記述
参照元が表示されない 学習済みデータからの生成、または推測

当社が自社を測ったときは、AIが根拠にした6サイトのうち自社サイトは1つも入っておらず、同名の別サービスの情報ばかりでした(AI検索対策を売る会社が自社を測ったら10点だった)。


出所別の対処

A. 自社サイトの古い記述

いちばん多く、いちばん直しやすい出所です。

  • 移転前の住所が、古いページや採用ページに残っている
  • 終了したサービスのページが公開されたままになっている
  • 旧社名・旧ロゴのページが別URLで生きている

対処は3つです。

  1. 該当ページを修正する(消すだけにしない)
  2. 不要なページは転送する(削除だけだと、他所に残ったコピーが根拠になり続けます)
  3. 会社概要ページに現在の正しい情報を1か所にまとめる

「古いページを消す」だけで終わらせないでください。 正しい情報が書かれた行き先を用意するのが目的です。

B. 同名の別会社の情報

対処は名乗りの固定です。詳細はAIが別の会社の説明を返してくるとき、何をすればいいのかにありますが、要点は3つです。

  • 会社概要に所在地・設立年・事業内容を本文として書く
  • 同名の存在があるなら、関係がないことを明記する
  • サイト内の社名表記を統一する

当社の45社実測では、同名他社と区別されていなかったのは3社(7%)でした。多数派ではありませんが、起きるときは決定的に起きます。

C. 第三者サイトの誤り

企業データベース・求人サイト・業界ポータルの登録情報が古いケースです。

相手 依頼の仕方
企業データベース 掲載情報の訂正フォームがあることが多い
求人サイト 担当営業に連絡すれば直る
業界団体・組合の名簿 事務局へ連絡
まとめ記事・比較サイト 運営者の問い合わせ先へ。応じない場合もある

訂正依頼は、正しい情報の出典を添えると通りやすくなります。「当社の会社概要ページ(URL)の通り、所在地は〇〇です」という書き方です。

D. すでに学習済みのデータ

直接は消せません。 できるのは、正しい記述を増やして、参照されうる情報の中身を変えていくことだけです。時間がかかり、当社も反映を確認できていません。

E. AIの推測(どこにも書かれていない)

意外に多いのがこれです。書かれていないことを、AIが周辺情報から埋めてしまうケースです。

  • 業種と地域から、扱っていない製品を推測される
  • 社名の一部から、別業種と判断される
  • 従業員数が書かれていないため、規模を推測される

対処は単純で、事実を書くことです。 書いていない項目は推測されます。会社概要に何を書くべきかはAIが読む会社概要ページの書き方にまとめました。


直したあと:確認の仕方

すぐには変わりません。 AIが参照するデータは即座には更新されないためです。

  • 1週間後・1か月後に、同じ質問を3回投げる
  • 記録した最初の回答と比べる
  • 見るのは「誤りが消えたか」であって、回数の増減ではありません

同じ質問での再現率は100回に1回未満という調査があるため(SparkToro / Gumshoe.ai)、回数を成果指標にしてはいけませんAEOの効果はどう測るか)。

当社も、自社の修正の効果をまだ測れていません。 8月1日に修正し、その後の指名検索の数字は次の通りです。

項目 2026年7月20〜29日 2026年8月13日時点の直近7日
「aiの鬼」の表示 24回 14回
平均掲載順位 5.5位 6.5位
クリック 6件 0件

改善していません。 期間も条件も違うので単純比較はできませんが、少なくとも「直したらすぐ良くなる」ものではないことは、この数字から言えます。


やってはいけないこと

  • AIに「訂正してください」と会話で伝えて終わりにする。 その会話の中では反映されますが、他のユーザーの回答は変わりません
  • 誤りの元になった第三者を攻撃する。 訂正依頼は事実の指摘に留めます
  • 誤りを打ち消すために、誇張した表現を追加する。 検証できない表現は、次の誤情報の出所になります
  • 消すだけにする。 行き先のない削除は、他所に残ったコピーを主役にします

よくある誤りのパターンと、直す場所

実際に見かける型を並べます。どこを直せばよいかは、型ごとに決まっています。

AIが言ったこと ありがちな原因 直す場所
所在地が違う 移転前の住所が別ページに残っている 旧ページを修正または転送
事業内容が違う 数年前に撤退した事業のページが生きている 該当ページを整理し、現行事業を明記
従業員数が違う 採用ページと会社概要で数字が違う サイト内の数字を1か所に統一
扱っていない製品が挙がる 業種からの推測。自社に記述がない 対応範囲と対応外を明記
別の代表者名が出る 事業承継後の更新漏れ、または同姓同名 会社概要に現代表を明記
廃止したサービスが現行として出る 終了告知を出さずにページだけ消した 終了を明記したページを残す

最後の行が見落とされがちです。 サービス終了時にページを消すだけだと、他所に残ったコピーや古い紹介記事が根拠として残ります。「〇〇サービスは2025年3月をもって終了しました」というページを1枚置く方が、確実に伝わります。


誰が気づき、誰が直すか

この種の誤りは、たいてい営業が最初に気づきます。 「お客様から、御社は〇〇もやっていると聞いたと言われた」という形です。

社内で決めておくのは2つだけです。

  1. 気づいた人が報告する先を1か所にする(総務でも広報でも構いません)
  2. 月1回、自社名で3回聞いて記録する担当を決める(30分の作業です)

2をやっていれば、営業からの報告を待たずに見つかります。 手順は自社がAIにどう説明されているかを、30分で調べる手順にまとめました。


誤りが「自社に有利」な場合

たまにあるのが、実際より良く説明されているケースです。取り扱っていない高付加価値の加工ができることになっている、受賞していない賞を受けたことになっている、など。

これも直してください。 理由は3つです。

  • 問い合わせが来ても受けられず、その時点で信用を失います
  • 誇張された情報が自社サイト由来だと見なされる可能性があります
  • 賞や認証は、主催者側から指摘されるリスクがあります

対処は同じで、自社サイトに正しい範囲を明記することです。「対応外」を書くのは、この意味でも効きます。受けられない仕事の引き合いが減るだけでなく、AIが範囲を推測で埋める余地を潰せます。


この記事で言えないこと(限界)

  • 修正が反映されるまでの期間を、当社は測定していません。 表の「目安」は経験に基づく見込みです
  • 学習済みデータに対して有効な手段を、当社は確認できていません
  • 各AIサービスのフィードバック機能の効果を測っていません
  • 引用したGartner・SparkToroの調査は当社の実測ではありません

まとめ

  • AIの回答は直接消せない。 変えられるのは、AIが根拠にしている情報だけ
  • 最初にやるのは記録。日時・質問文・回答全文・参照元URLを3回分残す
  • 次に参照元を開いて出所を特定する。出所によって対処が変わる
  • 出所は5種類。自社の古い記述/同名の別会社/第三者サイト/学習済みデータ/AIの推測
  • 「書いていない項目は推測される」。空欄を埋めるのが最も効く対処
  • 確認は1週間後・1か月後に同じ質問を3回。回数の増減を成果にしない
  • BtoB購買担当者の51%がAIで誤情報に遭遇している(Gartner・2026年5月・n=645)

自社が今どう説明されているかは自社がAIにどう説明されているかを、30分で調べる手順で確認できます。


本記事で引用した当社の実測:2026年8月1日 自社測定(AI認知スコア10/100)、2026年8月1日 福岡県金属加工業45社、Search Console(2026年7月20〜29日/2026年8月13日取得の直近7日)。外部調査:Gartner(2026年5月・n=645)、SparkToro / Gumshoe.ai。