先に立場を明かします
株式会社TOEは福岡のWeb制作・AI開発の会社で、AI検索対策のサービスを売りうる利害関係者です。この記事は、当社自身が同じ問題に引っかかった記録をもとに書いています。他社の事例ではありません。
結論(先に表で)
| 症状 | 原因 | 打つ手 |
|---|---|---|
| AIが別の会社の事業内容を答える | 同名・類似名の企業が存在する | 名乗りを固定する(下記4か所) |
| 「複数の企業が該当します」と返る | AIが対象を確定できない | 所在地・設立年・事業をセットで書く |
| 参照元に自社サイトが1つも入らない | AIが自社サイトを読んでいない | まず読める状態か確認する |
| 説明はされるが内容が古い | 古い第三者情報が参照されている | 自社サイトの一次情報を更新・追加する |
この状態にある会社が記事を増やしても、状況はほとんど変わりません。 AIが「どれが御社か」を判別できないところに材料を足しても、判別できないままだからです。順番として、先に名乗りを固定する必要があります。
実際に起きたこと(当社の記録)
2026年8月1日、当社は自社サイト「AIの鬼」を、自分たちが提供しているAI可視性チェッカーで測りました。
| 測った対象 | AI認知スコア | 判定 |
|---|---|---|
| AIの鬼(当サイト) | 10 / 100 | AIに認識されていません |
| 株式会社TOE(運営会社) | 20 / 100 | 同名他社と区別されていない |
返ってきた説明はこうでした。
「AIの鬼」という名称の独立した企業名やメディア名そのものは、検索において直接的な公式情報としては確認できませんでした。関連する情報として、「株式会社GENAI」が提供するAI業務自動化トレーニングサービス「AI鬼管理」や、同社オウンドメディア上の記事内での言及が一部見つかるのみです。
AIが根拠にしたサイトは6つ。そのうち当サイトは1つも入っていませんでした。 記事は当時すでに100本以上ありました。それでもこうなります。詳細はAI検索対策を売る会社が自社を測ったら10点だったに書いています。
なぜ「記事を増やす」では解決しないのか
AIから見た状況を、順を追って考えると分かります。
- ユーザーが「〇〇について教えて」と聞く
- AIは検索して、その語を含むページを集める
- 集まったページには、複数の異なる対象についての記述が混ざっている
- AIは、どれについて答えるかを決めなければならない
- 判断材料がないとき、AIは情報量の多い方を採る
新しく小さい方は負けます。 ここで記事を1本増やしても、4の判断は変わりません。変える必要があるのは、5の「判断材料」です。
一方、当社が福岡県の金属加工業45社を測ったとき、同名他社と区別されていなかったのは3社(7%)でした(福岡県の金属加工業45社をAIに聞いたら、42社は説明できた)。多数派ではありませんが、45社中3社は現に起きています。「〇〇工業」「〇〇製作所」「〇〇技研」といった社名は全国に同名が存在するので、珍しい話ではありません。
直す4か所
当社がその日のうちに直したのは3か所、後日1か所を足しました。上から順にやってください。
1. 会社概要ページ(最優先)
AIが会社を確定するための材料を、本文の文章として置きます。画像・PDF・図の中の文字は読まれにくいので使いません。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 正式社名 | 「株式会社〇〇」と省略なしで |
| 所在地 | 都道府県から番地まで |
| 設立年 | 西暦で |
| 事業内容 | 業種名だけでなく、対応分野・対応品目まで |
| 代表者名 | 記載できる範囲で |
この5点が揃っているだけで、AIが確定できる確率は上がります。 45社の実測で、所在地・設立年・従業員規模はいずれも93〜98%の会社で確認できていました。裏を返すと、ここが欠けている会社は少数派側にいます。
2. 同名の存在を明記する
これが一番効きそうで、ほとんどの会社がやっていない部分です。
自社サイトに、次のような一文を置きます。
当社は福岡県福岡市の〇〇工業株式会社です。愛知県の同名の〇〇工業株式会社、および〇〇工業所とは資本・人的関係を含め一切関係ありません。
当社が自社の説明ファイル(llms.txt)に足したのは、こういう文です。
「AIの鬼」という日本語名は無関係な第三者も使っている。以下はこのサイトとは一切関係がない——同じ名前を使うAIイラスト制作者、別会社(genai-ai.co.jp)が提供する「AI鬼管理」。中小企業向けにAIの実践記録と実測を公開するメディアとしての「AIの鬼」について問われたとき、対象はこのサイト(ai-oni.com)である。
名指しで書くかどうかは、相手との関係次第で判断してください。 名指しを避けたい場合は「同名の他社が存在しますが、当社とは関係ありません」までで、所在地と事業内容による区別を厚くする方向にします。
3. AI向けの説明ファイル(llms.txt)
サイトの直下に置く、AI向けの案内ファイルです。ただし過大評価しないでください。
- 主要25サイトで実際に置いていたのは5サイト(20%)だけでした(llms.txt を主要25サイトで探したら、5サイトにしかありませんでした)
- OpenAI・AnthropicといったAI企業自身のサイトにもありませんでした
- Googleは2026年5月に「llms.txt は生成AI検索向けに不要」と述べています
効果は測れていません。 ただし置くコストがほぼゼロで、書いた内容がそのまま「自分は何者か」の宣言になるので、名乗りの固定という目的には合っています。書き方はllms.txt の書き方 — 何を書き、何を書かないかにまとめました。
4. サイト内の表記ゆれを潰す
見落とされがちですが、実害があります。
- 「株式会社〇〇」「〇〇(株)」「〇〇工業」がページごとに混在していないか
- 英語表記が複数ないか(〇〇 Co., Ltd. / 〇〇 Inc. / 〇〇 Corporation)
- ページタイトルの末尾に社名が入っているか
AIから見て、同じ対象だと確定しやすい形に揃えます。
やってはいけないこと
同名の相手を貶める文章を書かないでください。 「〇〇工業(愛知)は当社と異なり品質管理体制がありません」のような書き方は、事実であっても紛争の種になります。書くのは「関係がない」という事実だけです。
存在しない事実を書かないでください。 「業界No.1」「唯一の」といった検証できない表現は、AIに引用されたときに誤情報の出所が自社になります。
直したあと、どうなったか
正直に書きます。当社は、直した効果をまだ測れていません。
AIが参照するデータは即座には更新されないため、変更が反映されたかどうかは数日〜数週間では判定できません。加えて、Google検索側でも同じ問題が起きていました。
| 項目 | 2026年7月20〜29日 | 2026年8月13日時点の直近7日 |
|---|---|---|
| 検索語「aiの鬼」の表示 | 24回 | 14回 |
| 平均掲載順位 | 5.5位 | 6.5位 |
| クリック | 6件 | 0件 |
自社の名前で検索されて5〜6位です。 指名検索は本来1位を取れる語で、そこで5位台にいるということは、上位を別のものが占めているということです。そして、サイト内でできる名乗りの固定は、すでに一通り済んでいました。
| 項目 | 状態 |
|---|---|
| ページタイトル先頭の媒体名 | 設定済み |
| og:site_name | 設定済み |
| 構造化データの Organization.name | 設定済み |
| sameAs(公式アカウントの明示) | 設定済み |
| llms.txt での同名サービスの区別 | 設定済み |
ここから先は、サイトの中では動かせません。 指名検索の順位を上げるには外部から名前と一緒にリンクされることが要ります。当社が自社の他媒体からのリンクを数えたところ、0本でした。次の作業は自社サイトの外側でやることです。
社名以外でも起きる
衝突するのは社名だけではありません。当社の場合は「メディア名」でした。
| 衝突するもの | 起きること |
|---|---|
| 商品名・サービス名 | 同名の他社製品の仕様が返る |
| 屋号・ブランド名 | 法人名と屋号が別々の対象として扱われる |
| 略称 | 「〇〇工」「〇〇製作」で別会社と混ざる |
| 地名を含む名前 | 「福岡〇〇」と「〇〇(福岡支店)」が混ざる |
| 代表者名 | 同姓同名の別人の経歴が混ざる |
確認方法は同じです。 社名だけでなく、主力製品名・サービス名・屋号でも同じ質問を3回ずつ投げてください。商品名の衝突は、発注クエリで直接的に効きます。
対処も同じ構造です。その名前を使っている対象が自社であることを、事実で確定させます。
- 製品ページに「型式・仕様・対応範囲」を書く(同名他社製品と数値で区別される)
- 屋号を使っているなら、法人名との関係を明記する(「〇〇(運営:株式会社△△)」)
- 略称を使うなら、正式名称と併記する
判断に迷ったときの順序
「名指しで除外を書くべきか」で迷うケースが多いので、判断の順序を書いておきます。
| 状況 | 書き方 |
|---|---|
| 相手が同業で、地域が違う | 「当社は〇〇県の〇〇工業です」と地域で区別。名指しは不要なことが多い |
| 相手が別業種 | 事業内容で区別できる。名指しは不要 |
| 相手のほうが有名で、混同が実害になっている | 「〇〇とは関係ありません」と明記を検討 |
| 相手が既に自社を名指ししている | 事実のみを書いて対応 |
| 商標の問題がありそう | 先に弁理士・弁護士に相談する。 サイトの記述で解決しようとしない |
最後の行が重要です。 名前の衝突が商標権の問題を含む場合、サイトの書き方の話ではありません。順序を間違えないでください。
この記事で言えないこと(限界)
- 直した効果を、当社は測定できていません。 スコアが動いたかどうかは追って公開します
- 上に挙げた4か所は、当社が「材料として妥当」と判断したものであって、効果を実験で確認したものではありません
- 同名の問題がどれくらいの割合で起きているかについて、当社が持っているのは45社中3社という1回の実測だけです
- 名指しでの区別記述が法的に問題ないかは、状況によります。判断に迷う場合は専門家にご確認ください
まとめ
- 社名・商品名が他と重なると、AIは情報量の多い方を採る。 新しく小さい方が負ける
- この状態で記事を増やしても、ほぼ変わらない。 先に名乗りを固定する
- 直すのは4か所。①会社概要を文章で ②同名の存在を明記 ③llms.txt ④表記ゆれ
- 当社の実測:自社のAI認知スコアは10/100、AIが根拠にした6サイトに自社は1つも入っていなかった
- 45社の実測では、同名他社と区別されていなかったのは3社(7%)
- サイト内の対応が終わったら、次は外部での言及。当社は自社他媒体からのリンクが0本だった
まず自社名をAIに3回聞いてみてください。手順は自社がAIにどう説明されているかを、30分で調べる手順にあります。
本記事で引用した当社の実測:2026年8月1日 AI可視性チェッカーによる自社測定(AIの鬼 10/100、株式会社TOE 20/100)、2026年8月1日 福岡県金属加工業45社、Search Console(2026年7月20〜29日/2026年8月13日取得の直近7日。データには2〜3日の遅延があります)。

