先に立場を明かします
この記事を書いている株式会社TOEは、福岡のWeb制作・AI開発の会社です。「AI検索で見つかるようにサイトを直しましょう」というサービスを売りうる立場、つまり利害関係者です。
だからこの記事では、意見を書きません。実際に測った数字だけを置きます。都合がよかろうが悪かろうが、出た数字をそのまま書きます。
llms.txt とは何か
llms.txt は、AIに向けてサイトの構造と要点を伝えるための案内ファイルである。 サイトの一番上(例:example.com/llms.txt)にMarkdown形式で置く。人間向けのページとは別に、「このサイトには何があるか」を機械が読みやすい形で示す狙いがある。
- 提唱されたのは比較的最近で、まだ正式な標準ではない
- ChatGPTやPerplexityなどが必ず読む保証はない
- それでも「AI時代のサイトの作法」として話題になっている
では、実際にどれくらいのサイトが入れているのか。それを確かめるために、25サイトの /llms.txt を機械的に取得しました。
どうやって測ったか
測定日:2026年7月22日。対象:日本と海外の主要25サイト。
- 各サイトの
https://<ドメイン>/llms.txtに、プログラムからアクセスした - HTTPステータスが200(正常)で、かつ中身がHTMLではないものを「あり」と判定した - 存在しないファイルでも、200でトップページのHTMLを返すサイトがあるため、この2条件で絞った
- 「あり/なし」だけを数えた。中身の質は評価していない
やっていることはこれだけです。特別な技術は使っていません。
結果:25サイト中、あったのは5サイト
| llms.txt | サイト |
|---|---|
| あり(5) | ITmedia、SoftBank、GitHub、Stripe、Cloudflare |
| なし(20) | 日経、朝日新聞、読売新聞、NHK、Qiita、Zenn、note、楽天、メルカリ、トヨタ、ソニー、KDDI、NTT、OpenAI、Anthropic、Wikipedia、Amazon.co.jp、Yahoo! JAPAN、リクルート、サイボウズ |
採用率は 5/25=20% でした。
分かったこと1:日本の大手メディアはゼロだった
新聞・放送の大手(日経・朝日・読売・NHK)は、4社とも llms.txt を置いていませんでした。 ニュースメディアはAI検索で引用されることの影響が大きい立場ですが、この案内ファイルという手段は、少なくとも今回の測定時点では使っていません。
日本の大手プラットフォーム(楽天・メルカリ・Yahoo! JAPAN・リクルート)も同様に、置いていませんでした。
分かったこと2:入れていたのは海外のテック企業だった
あった5サイトのうち、GitHub・Stripe・Cloudflare の3つは海外のテック企業です。開発者向けにドキュメントを大量に持つ企業が、機械可読な案内を早めに用意している、という傾向が見えます。
日本勢では、ITmedia(ITメディア)とSoftBankの2社にありました。
分かったこと3:AI企業自身が入れていなかった
意外だったのはここです。OpenAI と Anthropic、つまりAIを作っている当事者のサイトに、llms.txt はありませんでした。(測定時点・トップドメイン直下で確認)
「AIのための案内ファイル」を、AI企業が自社サイトに置いていない。この事実は、llms.txt がまだ「様子見」の段階にあることを示しているのかもしれません。ただしこれは解釈であって、測定結果そのものは「無かった」という事実だけです。
この測定で言えないこと(限界)
数字を出したうえで、この測定で言えないことも明記します。
- 効果は測っていない。llms.txt を置いたサイトがAI検索で有利になったかは、今回まったく調べていません。あるのは「置いているかどうか」だけです
- 25サイトは代表ではない。有名サイトを恣意的に選んでいます。全ウェブの採用率ではありません
- トップドメイン直下しか見ていない。サブディレクトリや別ドメインに置いている可能性は拾えていません
- 中身の質を見ていない。「あり」の5サイトも、中身が充実しているかは別の話です
まとめ
- 実測(2026年7月22日・25サイト):llms.txt があったのは5サイト(ITmedia・SoftBank・GitHub・Stripe・Cloudflare)、採用率20%
- 実測:日本の大手メディア4社(日経・朝日・読売・NHK)はいずれも無し
- 実測:入れていたのは主に海外テック企業(GitHub・Stripe・Cloudflare)
- 実測:OpenAI・Anthropic というAI企業自身のサイトにも無し
- 未測定:llms.txt を置くことの効果、全ウェブでの採用率
llms.txt は「入れておくべき」と語られ始めていますが、主要サイトの実態はまだ2割でした。急いで入れる必然性があるのか、それとも先行者になる好機なのかは、効果を測るまで断言できません。
私たちはWeb制作の会社なので「今すぐ入れましょう」と言えば商売になります。しかし、効果を測っていない以上、そうは書けませんでした。次は、置いたサイトと置いていないサイトで、AI検索での引用に差が出るかを測ってみます。
本記事のデータは、2026年7月22日に各サイトの /llms.txt へプログラムからアクセスし、HTTP 200かつ非HTMLを「あり」と判定した実測結果です(n=25)。中身の質・効果は評価していません。