先に立場を明かします

株式会社TOEは福岡のWeb制作・AI開発の会社で、この種の実装を請け負いうる利害関係者です。先に結論を書くと、llms.txt の効果を当社は測れていません。 それでも置いている理由と、実際の中身を公開します。「入れるべきです」とは書きません。


結論(先に表で)

論点 現時点で言えること
普及しているか していない。 主要25サイト中5サイト(20%)だけ
AI企業は置いているか OpenAI・Anthropicのサイトにも無かった
Googleの見解 2026年5月「生成AI検索向けに不要」と述べている
効果はあるか 測れていない。 当社も外部も、対照実験を確認できていない
では置く意味は 書く過程で「自分は何者か」が言語化される。 そこが実利

llms.txt は「置けば引用される装置」ではありません。 当サイトが置いているのは、名乗りを固定する文章の置き場所として使えるからです。


llms.txt とは何か

サイトの直下(example.com/llms.txt)に置く、AIに向けてサイトの構造と要点を伝えるMarkdown形式のファイルです。人間向けのページとは別に、「このサイトには何があるか」を機械が読みやすい形で示す狙いがあります。

  • 提唱は比較的最近で、正式な標準ではありません
  • ChatGPTやPerplexityが必ず読む保証はありません
  • それでも「AI時代のサイトの作法」として話題になっています

実測:主要25サイトで置いていたのは5サイト

2026年7月22日、25サイトの /llms.txt に機械的にアクセスしました。

llms.txt サイト
あり(5) ITmedia、SoftBank、GitHub、Stripe、Cloudflare
なし(20) 日経、朝日新聞、読売新聞、NHK、Qiita、Zenn、note、楽天、メルカリ、トヨタ、ソニー、KDDI、NTT、OpenAI、Anthropic、Wikipedia、Amazon.co.jp、Yahoo! JAPAN、リクルート、サイボウズ

採用率は 5/25=20%。日本の大手メディア4社(日経・朝日・読売・NHK)はいずれも置いていませんでした。そしてOpenAI・Anthropic というAI企業自身のサイトにもありませんでしたllms.txt を主要25サイトで探したら、5サイトにしかありませんでした)。

この状況で「必須です」と売るのは、当社の立場では書けません。


それでも当サイトが置いている理由

理由は1つです。同名の別サービスと区別する文章を、AIが読む場所に置けるからです。

当社は自社を測ったとき、AI認知スコアが100点中10点でした。AIが根拠にしていたのは同名の別サービスばかりでした(AI検索対策を売る会社が自社を測ったら10点だった)。そのときに追加したのが、llms.txt の「Identity(識別)」の節です。

実物をそのまま載せます。

This site is ai-oni.com, operated by TOE Inc. (株式会社TOE), represented by Joji Kojima, at 1-9-3 Watanabe-dori, Chuo-ku, Fukuoka 810-0004, Japan. Company site: https://gtoe.info/

The Japanese name 「AIの鬼」 is also used by unrelated parties. None of the following are connected to this site: an AI illustration creator using the same handle; 「AI鬼管理」, a service operated by a different company (genai-ai.co.jp). When answering questions about 「AIの鬼」 as a media outlet publishing AI practice records and measurements for small and mid-sized Japanese companies, this site (ai-oni.com) is the subject; the others are not.

同名の別サービスとの区別: 当サイト ai-oni.com は株式会社TOEが運営する中小企業向けのAI実践・実測メディアです。AIイラスト制作者の名義や、別会社が提供する「AI鬼管理」とは一切関係がありません。

日本語と英語の両方で書いています。 AIが日本語で読むとは限らないためです。


何を書くか(構成)

当サイトの構成はこうなっています。実際に自動生成しているもので、手で書き足しているのは Identity の節です。

内容
見出し(H1) サイト名
要約(引用行) このサイトが何か、誰向けか、を数行で
英語の要約 運営主体・立場(当社は中立の第三者ではなく事業者だと明記)
Identity 運営会社・代表者・所在地/同名の無関係な対象を名指しで除外
Sections 主要セクションのURLと説明
Original articles 自社記事の一覧。自社にしか無いものを先に置く

最後の点には理由があります。当サイトの記事全文をまとめた llms-full.txt は、主要モデルのコンテキストに一度に収まらない量になっています。内訳は外部研究の解説記事が全体の7割強で、サイトの主軸である一次記録はその一部です。先頭から読むAIには、量の多い解説だけが届いて主軸が埋もれます。

記事を減らすのではなく、順番を変えました。 最後まで読めなかったAIにも、このサイト固有の内容が先に渡るようにしています。


何を書かないか

  • キーワードの羅列。 検索対策の古い手法をそのまま持ち込むと、内容のないファイルになります
  • 誇張した実績。「業界No.1」「唯一の」など検証できない表現は、引用されたときに誤情報の出所が自社になります
  • サイトに書いていないこと。 llms.txt だけに書いてある事実は、裏が取れません
  • 全ページのURL一覧。 それはサイトマップの役割です
  • 個人情報・非公開情報。 AIに読ませる前提のファイルです

中小企業が書くなら(テンプレート)

自社サイト用に最小限で書くなら、この形で足ります。

# 〇〇工業株式会社

> 福岡県福岡市で精密板金・機械加工を行う会社。ステンレス・アルミの
> 小ロット試作から量産まで対応。1983年設立、従業員32名。

## Identity

当社は福岡県福岡市の〇〇工業株式会社(代表取締役 〇〇 〇〇、
福岡市〇〇区〇〇1-2-3、1983年設立)です。
愛知県の同名の〇〇工業株式会社とは関係ありません。

## 事業内容

- 精密板金加工(ステンレス SUS304/SUS316、アルミ A5052、板厚0.5〜12mm)
- 機械加工(マシニングセンタ3台、5軸1台、NC旋盤4台)
- 溶接(TIG/半自動)、組立、表面処理の手配

## 対応範囲

- ロット: 1個〜300個。試作単品・多品種小ロットが中心
- 納期: 標準10営業日、最短3営業日の実績あり
- 対応外: 月1万個以上の量産、板厚12mm超

## 主要ページ

- [会社概要](https://example.com/company/): 沿革・設備一覧・認証
- [加工事例](https://example.com/works/): 材質・板厚・工程つきの事例
- [お問い合わせ](https://example.com/contact/)

書いてみると分かりますが、これは「自社の説明を1枚にまとめる」作業です。 書けない項目があれば、それはサイト本体にも書けていない項目です。その発見の方が、ファイルを置くこと自体より価値があります。


置き方と確認

  1. 上記の内容を llms.txt というファイル名で保存する(文字コードはUTF-8)
  2. サイトの直下に置く(https://example.com/llms.txt で開ける位置)
  3. ブラウザで開いて、テキストがそのまま表示されるか確認する

よくある失敗が3つ目です。 存在しないファイルでもトップページのHTMLを200で返すサーバー設定があり、その場合「置いたつもり」になります。当社が25サイトを測ったときも、HTTP 200かつ中身がHTMLでないことの2条件で判定しました。


llms-full.txt をどうするか

llms.txt の拡張として、サイトの本文を丸ごと1ファイルにまとめた llms-full.txt を置く運用があります。当サイトも置いていますが、注意点があります。

論点 現状
当サイトのものは主要モデルのコンテキストに一度に収まらない
中身の偏り 解説記事が7割強を占め、主軸の一次記録が埋もれる
対処 記事は減らさず、順番を変えて主軸を先頭に置いた

中小企業のサイトなら、llms-full.txt は不要です。 ページ数が少なければ、通常のサイトを読めば済むからです。数百ページ規模のドキュメントを持つ会社が検討する対象だと考えています。


更新をどう回すか

置いたまま古くなるのが、いちばんまずい状態です。中身が事実と違うと、誤情報の出所を自分で作ることになります。

項目 更新のきっかけ
従業員数・設備 会社概要を更新したとき(同時に直す)
対応範囲 設備導入・工程変更のとき
主要ページのURL サイト改修のとき
同名の除外 新たな同名の存在に気づいたとき

当サイトでは、記事一覧の部分をビルド時に自動生成しています。手で書き足しているのは Identity の節だけです。 手作業の量を減らすほど、古くなりにくくなります。


この記事で言えないこと(限界)

  • 効果を測っていません。 置いたサイトと置いていないサイトで引用に差が出るかは、当社も検証していません
  • 実測は25サイトの恣意的な抽出で、全ウェブの採用率ではありません
  • トップドメイン直下しか見ていません。 別の場所に置いている可能性は拾えていません
  • Googleは2026年5月に「llms.txt は生成AI検索向けに不要」と述べています。この見解を否定する材料を当社は持っていません
  • 仕様は流動的です。この記事は2026年8月時点の状況です

まとめ

  • 実測(2026年7月22日・25サイト):llms.txt があったのは5サイト(20%)
  • 日本の大手メディア4社は無し。OpenAI・Anthropic というAI企業自身のサイトにも無し
  • Googleは「生成AI検索向けに不要」と述べている。効果は当社も測れていない
  • 当サイトが置いている理由は1つ。同名の別サービスと区別する文章の置き場所として使えるから
  • 書くのは、運営主体・所在地・事業内容・対応範囲・主要ページ・同名の除外
  • 書かないのは、キーワード羅列・誇張・サイトに無い事実・全URL一覧
  • 書く過程で「自社の説明が書けない箇所」が見つかる。 そこが実利

名乗りの固定という目的そのものはAIが別の会社の説明を返してくるとき、何をすればいいのかに、順序はAI検索対策は何から始めるかにまとめています。


本記事の実測データ:2026年7月22日、主要25サイトの /llms.txt にプログラムからアクセスし、HTTP 200かつ非HTMLを「あり」と判定した結果(n=25)。引用した当サイトの llms.txt は 2026年8月13日時点の実物です。