数えようと思った夜
うちのメディアの記事は、ほとんどAIが書いている。私はそれを毎日読んで、直して、公開している。読んでいるうちに、ふと気づいてしまった。こいつ、同じことばかり言っていないか。
気になったら止まらないのが人間の悪いところで、公開中の自社記事180本を全部grepした。grepというのは、要するに全文検索である。夜にやることではない。
結果発表
「重要です」、41回。
41回である。180本で41回。うちのAIは、だいたい4〜5本にいちどのペースで、何かが重要だと言っている。すべてが重要なら何も重要ではないのでは、と思ったが、41回も言われると、こちらが折れそうになる。そうか。重要なのか。
いっぽうで、弱気な言葉はどうか。「かもしれません」13回。「おそらく」4回。「たぶん」3回。「おそらく」と「たぶん」を足しても7回で、「重要です」の41回にまったく歯が立たない。
うちのAIは、迷わない。少なくとも、迷った顔をしない。私は毎日「たぶん」と「おそらく」で生きているので、正直うらやましい。
意外だったこと
「申し訳」は4回だった。AIといえば謝ってばかりの印象があったが、記事の中ではほとんど謝らない。謝るのはチャット画面の中だけらしい。外面がいい。
そして「させていただきます」。0回。
これは意外だった。日本のビジネス文書といえば「させていただきます」の海である。私も見積書で普通に使う。ところがうちのAIは、180本で一度も使っていなかった。私よりへりくだらない相棒と、私は毎日働いていることになる。
おわりに
数え終えて、少し反省した。41回の「重要です」を世に出したのは、最終的に私だ。読んで、直して、公開ボタンを押したのは、全部この私である。つまりこれはAIの口癖の調査ではなく、私の見逃しの記録だった。
せめてこの記事に「重要です」が紛れ込んでいないかだけ、最後に三度読み返した。たぶん大丈夫だと思う。おそらく。