先に立場を明かします

株式会社TOEは福岡のWeb制作・AI開発の会社で、サイト改修を請け負いうる利害関係者です。この記事の土台は、当サイト自身のSearch Console実測と、外部調査です。「この構成にすれば問い合わせが増えます」とは書きません。前後比較をしていないからです。


結論(先に表で)

AI経由の訪問者の状態 受け皿に必要なもの
すでに事業内容の説明は受けている 会社紹介から始めない。 条件と実績を先に置く
複数社を並べて比較している最中 他社と違う条件を明示する。 対応外も書く
情報が正しいか裏取りしたい 一次情報(数字・写真・日付)を置く
連絡するかどうか迷っている 問い合わせのハードルを下げる(質問だけでも可、と書く)

AI検索経由で来る人は、御社を知らない人ではなく「AIから聞いたばかりの人」です。 説明済みの人に説明を繰り返すと、離脱します。


前提:クリックの前に、説明は終わっている

AI検索は、質問に対して文章で答え、根拠にしたページを出典として示します。つまり訪問者は、御社の概要をAIから聞いた後にリンクを踏んでいます。

このとき起きていることは2つです。

  1. 概要説明の役割は、すでにAIが果たしている
  2. クリックする理由は、AIの回答に足りなかったものを探すこと

足りなかったものとは、たいてい次のどれかです。

  • 具体的な条件(うちの案件を受けられるのか)
  • 裏付け(本当にできるのか、実績はあるのか)
  • 連絡先と、連絡していい雰囲気

Gartnerの調査(2026年5月・n=645)では、BtoB購買担当者の69%が営業担当に裏取りを依頼しています。裏取りは、購買プロセスの標準動作になりつつあります。


実測:当サイトで最も効率が良かったページ

当サイトのSearch Console実測(2026年7月20〜29日)を出します。

ページ種別 表示に占める割合 クリックに占める割合 CTR
ニュース個別(142ページ) 51.8% 2.03%
自社記事(73ページ) 21.1% 4.35%
コーナー一覧ページ 7.2% 32% 14.55%

最も効率が良かったのは、記事でもニュースでもなくコーナー一覧ページでした。 表示の7.2%しか占めていないのに、クリックの32%を持っていきました。

理由は、「名前で何が読めるか分かる」ためだと考えています。 一覧ページのタイトルは「何がここにあるか」を示すので、探している人の目的と一致しやすい。個別記事は、それが自分の探しているものかどうか、タイトルだけでは判断しにくい。

これは企業サイトに置き換えると、「加工事例一覧」「対応材質一覧」「設備一覧」のような、まとまりのあるページの価値が高いということです。


受け皿ページに置くもの

1. 条件(最初の画面に)

訪問者が最初に確認するのは「うちの案件を受けられるのか」です。

置く項目
対応材質 SUS304/SUS316/A5052/SPCC
寸法範囲 板厚0.5〜12mm、最大1,500×800mm
ロット 1個〜300個。試作単品も可
納期 標準10営業日、最短3営業日の実績
対応外 月1万個以上の量産は受けていません

「対応外」を書くのが効きます。 見込みのない問い合わせが減り、条件が合う人には範囲が確定するからです。

2. 裏付け(数字・写真・日付)

  • 加工事例に材質・板厚・工程・ロット・納期を添える
  • 設備一覧に台数と型式を書く
  • 認証は取得年を書く
  • 実績は件数や取引年数で書く(社名が出せない場合)

当社の実測で、AIが引用していたのも具体的な記述の箇所でした発注クエリで引用される製品・サービスページの書き方)。訪問者が探しているものと、AIが引用するものは、実は同じです。

3. 連絡のハードルを下げる一文

  • 「見積前の技術的な質問だけでも構いません」
  • 「図面がなくても、手書きスケッチや写真で相談できます」
  • 「対応可否の判断だけなら、当日中に回答します」

問い合わせフォームの前に、この一文があるかどうかで結果が変わります。 ここは当社の実測ではなく、お客様のサイトを見てきた経験からの見解です。

4. 「どこで知りましたか」の項目

AI経由の流入は、参照元が判別できないことが多くあります。 確実なのは、問い合わせフォームで直接聞くことです。

選択肢の例
検索(Google・Yahoo!)
ChatGPT・Perplexityなどの生成AI
紹介
展示会・イベント
その他

この1項目が、AI検索対策の効果を判定できる唯一の実務的な手段になることがあります。


ゼロクリックをどう考えるか

AIが答えを完結させ、サイトに来ないまま終わる——いわゆるゼロクリックの懸念があります。当社の見解を書きます。

中小企業のBtoBでは、ゼロクリックで終わる質問と、終わらない質問がはっきり分かれます。

質問の型 結果
「精密板金とは何か」 AIが答えて終わる。サイトに来ない
「板厚0.5mmのSUS304を10個、試作で頼める会社は」 候補として社名が出て、確認のために来る

前者を狙って記事を書いても、来訪は増えません。 後者に答えられる記述が自社サイトにあるかどうかが分かれ目です。

そして、AI経由の来訪が受注に直結するとは限りません。外部調査(Piftee・2026年5〜6月・n=196、うち製造業37名)では、発注先探しで生成AIを使った経験は75.0%、AI経由で知らない企業を見つけた人は82.3%に上る一方、実際にAI経由で発注に至ったのは21.1%でした。

AIは候補を見つける入口としては使われ始めていますが、発注の意思決定はまだ人間がしています。 言えるのは「引き合いの入口が一つ増えるかもしれない」までです。


やってはいけないこと

  • トップページに全員を集める。 AIが示すのは具体的なページです。深い階層に着地する前提で作ります
  • 着地ページから会社紹介を読ませる。 説明はもう済んでいます
  • 問い合わせ前に会員登録を要求する。 裏取りに来た人は離脱します
  • チャットボットで応対を完結させようとする。 AIの回答を確認しに来た人に、またAIを出すことになります

着地ページのチェックリスト

AI経由で来た人が最初に開くページを、次の観点で確認してください。トップページではなく、実際に着地している下層ページです。

確認 満たしているか
最初の画面に、対応できる条件が書かれているか 材質・寸法・ロット・納期
そのページだけで、対応可否が判断できるか 他ページを回らせない
連絡先が、画面をスクロールせずに見えるか 電話・フォームへの導線
数字が入っているか 「多数」「豊富」ではなく件数・年数
写真があるか 実物の写真。イメージ写真ではない
更新日が分かるか 古いままだと裏取りの材料にならない
対応外が書かれているか 範囲が確定する

「他ページを回らせない」が要点です。 会社概要 → 事業内容 → 事例 → 問い合わせ、と回遊させる設計は、比較検討中の人には長すぎます。


問い合わせフォームの設計

裏取りに来た人を止めてしまう典型が、フォームです。

よくある設定 起きること 対処
必須項目が10個以上 途中で離脱 必須は社名・氏名・連絡先・内容の4つに
会員登録が必要 ほぼ離脱 登録なしで送れるようにする
「ご相談内容」が自由記述のみ 何を書けばよいか分からず離脱 例文をプレースホルダに入れる
送信後に何も表示されない 届いたか不安になる 受付完了と、返信の目安日数を表示
添付ファイル不可 図面が送れない 添付を許可する(容量の目安も書く)

そして「どこで知りましたか」の選択肢に、生成AIを入れてください。 AI検索経由の流入は参照元が判別できないことが多く、直接聞くのが最も確実な計測手段です(AEOの効果はどう測るか)。


電話が鳴る前提で作る

BtoBの中小企業では、AIで候補を見つけた人が、フォームではなく電話をかけてくることがあります。

  • 電話番号を画像にしない(タップで発信できない、AIも読めない)
  • 受付時間を明記する
  • 「技術的な質問だけでも構いません」と書く

Gartnerの調査で69%が営業担当に裏取りを依頼しているという数字は、電話や問い合わせという形で表れます。 受け皿は、Webの中だけの話ではありません。

そして、電話を受けた側の対応も設計に含まれます。「AIで見て電話しました」という一次接触は、これまでの飛び込みや紹介とは前提が違います。 相手はすでに事業内容の説明を受けており、確認したいのは条件と実在性です。会社案内を最初から説明し直すより、「どのような案件でしょうか」から入るほうが噛み合います。

社内で共有しておくのは次の3点です。

  • AI経由の問い合わせが来ることを、電話を取る人に伝えておく(「ネットで見た」と区別がつかないため、聞き方を決めておく)
  • その場で対応可否の一次判断ができる人につなぐ導線を用意する
  • 問い合わせの経路を記録する(フォームの選択肢と同じ項目を、電話でも1問聞く)

3点目を続けると、AI経由の引き合いが実際にあるのかどうかが、半年で分かります。 これは推測ではなく、自社で取れる唯一の実データです。


この記事で言えないこと(限界)

  • 当社は受け皿ページの前後比較をしていません。 「この構成にしたら問い合わせが増えた」という実測はありません
  • Search Consoleの数字は当サイト1件・10日間の実測です。他サイトで同じ分布になるとは限りません
  • AI検索経由の流入を、当社は分離して計測できていません。 参照元が判別できないケースが多いためです
  • 「連絡のハードルを下げる一文」は経験に基づく見解で、実験で検証したものではありません

まとめ

  • AI検索経由の訪問者は、すでにAIから説明を受けた状態で来る。会社紹介から読ませない
  • 当サイトの実測で最も効率が良かったのはコーナー一覧ページ(表示7.2%でクリックの32%、CTR 14.55%)。個別記事ではない
  • 受け皿に置くのは①条件(対応外を含む)②裏付けの数字 ③連絡のハードルを下げる一文 ④どこで知ったかの選択肢
  • BtoB購買担当者の69%が営業担当に裏取りを依頼している(Gartner・2026年5月)。裏取りは標準動作
  • ゼロクリックで終わるのは一般的な質問具体的な発注クエリは来訪になる
  • AI経由で実際に発注に至ったのは21.1%(Piftee・2026年5〜6月)。入口が一つ増えるかもしれない、までが言えること

自社の現状は自社がAIにどう説明されているかを、30分で調べる手順で測れます。効果の測り方はAEOの効果はどう測るかにまとめました。


本記事で引用した当社の実測:Search Console(2026年7月20〜29日、ai-oni.com)、2026年7月18日Perplexity 3クエリ。外部調査:Gartner(2026年5月・n=645)、Piftee(2026年5〜6月・n=196)。