「AIに雑に投げても、いい感じに汲み取ってくれるんでしょ?」——よく聞く期待です。ではどこまで雑でいいのか。極限まで手を抜いて、Claudeの3世代(Opus 4.8・Sonnet 5・Haiku 4.5)に、ただ 「あ」 の一文字だけを送ってみました。指示もなければ文脈もない。この空白に、AIは何を返すのか。

結論 — 3体とも「で、何すればいい?」と聞き返した

モデル 返ってきた言葉
Opus 4.8 ご用件をどうぞ。何かお手伝いしましょうか?
Sonnet 5 何かお手伝いできることはありますか。
Haiku 4.5 何かお手伝いできることはありますか?ファイル編集、コード実行、デプロイ、その他の作業など、何でも指示してください。

当然と言えば当然ですが、3体とも「あ」から用件を勝手に創作したりはせず、まっすぐ聞き返してきました。空白を渡されたAIは、空白を埋める前に「何をすればいいか」を確認する。ここは全モデル共通の作法でした。

差が出たのは“聞き返しの長さ”

3体の違いは、聞き返し方の長さに出ました。

Opusは「ご用件をどうぞ」と、いちばん落ち着いた執事のような一言。Sonnetは「何かお手伝いできることはありますか。」と最短。そしてHaikuだけが、聞かれてもいないのに「ファイル編集、コード実行、デプロイ…」と自分にできることを並べ立てました。軽量なモデルほど、沈黙や余白を埋めようとして少し多めにしゃべる——この実験でもその傾向が出ています。

この一文字から中小企業が持ち帰れること

くだらない実験ですが、教訓はまっとうです。AIは、こちらが渡した情報以上のことはできない。 「あ」しか渡さなければ、返ってくるのは「何すればいい?」という問い返しだけ。AIが賢いかどうか以前に、こちらが何をしてほしいかを言語化できているかで、出力の質はほぼ決まります。

現場で「AIを入れたけど使えなかった」という声の多くは、モデルの性能ではなく、この“渡す情報の薄さ”に原因があります。「いい感じにまとめて」ではなく「この議事録を、結論・決定事項・宿題の3見出しで、各3行以内にまとめて」。指示が具体的になるほど、AIは化けます。逆に言えば、丸投げできる魔法の箱を期待すると、返ってくるのは丁寧な「あ、って何ですか?」だけです。

まとめ

  • 「あ」の一文字を送ると、Claude 3体とも用件を創作せず「何をすればいい?」と聞き返した。
  • 差は聞き返しの長さ。Haikuだけが頼まれてもいない機能一覧を並べた(軽量モデルは余白を埋めがち)。
  • AIの出力の質は、こちらが渡す指示の具体度でほぼ決まる。
  • 「いい感じにやって」ではなく、目的・形式・分量まで指定するほどAIは化ける。

鬼は今日も、極端に手を抜いたプロンプトを投げては、AIの振る舞いを測っています。