先に結論です。ChatGPTやClaudeの「プロジェクト(Projects)」機能に、自社の規程・FAQ・過去の返信メールを一度入れておくと、問い合わせのたびに文書を貼り直さなくても、その会社の文脈に沿った返信の下書きが作れます。 ただし出てきた下書きは必ず人が確認します。ここでは、中小企業がそのまま試せる手順と、外せない注意点を書きます。

この手順で解決したいこと

問い合わせ対応をAIに手伝わせるとき、よくある詰まりが「毎回、自社のルールや料金表を貼り付け直す」手間です。1件なら我慢できても、日に何件もあると、その準備だけで時間が溶けます。かといって貼らずに聞くと、AIは一般論しか返せず、自社の実情に合いません。

「プロジェクト」機能は、この貼り直しをなくすための箱です。箱に自社の文書を入れておけば、その箱の中での会話はすべて、入れた文書を踏まえて答えてくれます。

手順の全体像

工程 やること 担当
1. 素材を集める 規程・料金表・FAQ・良い返信の見本を用意
2. 箱を作る ChatGPT/Claudeでプロジェクトを新規作成
3. 文書を入れる 集めた素材を箱に登録する
4. 指示を固定する 返信のトーン・禁止事項を箱の指示欄に書く
5. 下書きを作る 問い合わせ本文を貼って下書きを生成 AI
6. 確認して送る 事実・金額・言い回しを人が点検して送信

手順1〜4:箱を用意する

まず素材を集めます。料金表、対応範囲、よくある質問と模範回答、そして「これは良い」と思える過去の返信メールを数通。この見本が、後で下書きの質を決めます。

次にChatGPTかClaudeで新しいプロジェクトを作り、集めた文書を登録します。どちらのサービスも、プロジェクト単位でファイルや長い文章を保持し、その中の会話で参照できる機能を備えています。

登録できたら、箱の指示欄(カスタム指示・プロジェクト指示にあたる欄)に、返信の方針を固定します。例:

  • 敬体で、結論から書く
  • 料金は添付の料金表の数字だけを使い、推測で金額を出さない
  • 分からないことは「確認します」と書き、断定しない
  • 署名・定型の挨拶はこの形にする

「推測で金額を出さない」「分からないことは断定しない」は必ず入れてください。AIは、それらしい数字を作ってしまうことがあります。

手順5〜6:下書きを作り、人が確認する

準備ができたら、実際の問い合わせ本文を貼って「これへの返信の下書きを」と頼みます。箱の文書と指示を踏まえた下書きが返ります。

ここで必ず人が確認します。点検するのは主に3点です。

  • 金額・納期・数字 — 料金表と突き合わせる。ここは誤りが最も高くつきます
  • 事実の断定 — 「できます」と言い切っている箇所が、本当に対応可能か
  • 言い回し — 相手や状況に合っているか

下書きは「ゼロから書く手間を省くもの」であって、「そのまま送るもの」ではありません。この線引きは、自社の自動化でも一貫して守っている考え方です(note投稿はどこまで自動化できるか)。

機密の扱い — 入れる前に決めること

社内文書を外部のAIサービスに入れる以上、何を入れて何を入れないかは、始める前に決めます。

  • 個人情報(顧客の氏名・連絡先)は、下書き作成時にマスクするか、入れない
  • 契約上の秘密や、外部保存が禁じられている資料は入れない
  • 利用するAIサービスのデータ利用条件(入力が学習に使われるか等)を確認し、必要なら学習オフの設定・プランを選ぶ

この判断は業種や契約で変わります。迷う場合は、一般公開してよいFAQや料金表だけから始めるのが安全です。導入の第一歩の選び方は中小企業が最初にAI化すべき業務の見つけ方も参考になります。

正直に書いておく限界

  • 下書きの質は、入れた見本の質で決まります。良い返信の見本が薄いと、下書きも凡庸になります
  • 金額や事実の誤りは起こりえます。人の確認を省いた瞬間に、この手順は危険になります
  • どれだけ時間が減ったかは、会社ごとに違います。本記事は特定の削減率を主張しません。まず1週間、自分の問い合わせで試して、自社で測ってみてください

まとめ

  • プロジェクト機能に自社文書を一度入れれば、貼り直しなしで自社文脈の返信下書きが作れる
  • 箱の指示に「推測で金額を出さない」「分からないことは断定しない」を必ず入れる
  • 下書きは人が金額・事実・言い回しを確認してから送る。そのまま送らない
  • 機密の線引きは始める前に決める。迷うなら公開してよい文書だけから始める

問い合わせ対応へのAI導入を自社に合わせて設計したい場合は、株式会社TOEまでご相談ください。