建築士1人の「夏休みの自由研究」が、45.8万回AIを動かす公共工事SaaSになった
公共工事の情報は日本全国で公開されているのに、場所も形式もばらばらだ。県ごと、市町村ごとに異なるシステムを使い、ある自治体はHTMLで、別の自治体はPDFだけ、別の町は月別ページにしている。建築士が開発したシステムは、こういう雑然とした情報を一つのSaaSに統一し、建設会社が「自社が参加できるか」「いくらで落札されているか」をサッと判断できるように変えた。2台のNVIDIA DGX Sparkを専用線で繋いで運用し、2026年7月末までに45万8000回のAI処理を実行している。
この数字の面白さは、外部のAPI呼び出しが0円だということだ。Ollamaでローカルに動かすLLMだけを使っているから、官公庁の資料を外部へ送らない。同じ入力でも何度でも再実行できる。AIの出力履歴には「どのモデルが、どのプロンプトで、どのバージョンの検証器で、何を根拠に判定したか」が全て記録されている。AIを入れたから信頼できるのではなく、AIの判定が追跡可能だから、初めて本番運用ができるのだ。
本番化の過程で驚きがある。福岡県の23市町村を対象に、AIエージェント39体を並列実行して6時間でパーサを生成した。これは目を見張る速度だが、その後ろには940件のテストと原本照合が置かれている。AIの生成物は完成品ではなく、高速に作られたプルリクエスト扱いである。それでも別の担当者が原本と突き合わせ、金額・日付・件数の不変条件で検証する。AIエージェントの並列実行で速度は作ったが、本番化できたのは人間の検証体制があったからだ。もう一つの意外性は、律速がAIではなくPostgreSQLだったこと。約24万案件の類似検索が1件あたり1667ミリ秒かかっていたのを、週次バッチで事前計算表に切り替えたら1191倍高速化した。AIでもGPUでもなく、事前計算表がシステム全体の最大ボトルネックだった。
中小企業が参考にできるのは、AIを「目玉」だと思わないことだ。公共工事SaaSの本質は、散在する情報を一つに統一し、検索可能にすることだ。その過程でAIが活躍するが、AIだけでなく、プログラムの検査ルール、人間の検証、そして事前計算による「検索しない」設計も同等に重要なのだ。
※ 上記は配信元記事をもとにAIの鬼編集部が要約・再構成したものです。正確な内容は出典元をご確認ください。
このニュースの全文は、配信元でお読みいただけます。 Qiita AIで元記事を読む →
