完成版を学習させても精度は上がらない — 暗黙知は「作り方」で渡す
非エンジニアの定型業務をAIに移すとき、まず試されるのは「過去の完成物を見せて同じように作らせる」ことだ。しかし、かなりの確率でうまくいかない。形式は揃うのに、毎回同じ種類の手直しが発生する。理由は単純で、完成物には判断の結果しか残っていないからだ。何を見て、何を書かないと決めたのかという判断の過程は表面に現れない。ある部門の例では、担当者は直している内容を言語化できた。つまり判断基準は持っていたのに、その基準はAIに渡っていなかった。渡していたのは、基準を適用した後の完成物だけだった。
面白いのはここだ。完成物は料理の盛り付け写真に近い。盛り付けの写真を100枚見せても、レシピは分からない。どの塩加減で止めたか、何を捨てたかは写真に写らないからだ。記事の結論は「完成版を読ませるな、作り方を渡せ」。渡すべきなのは、評価観点とその重み、情報源の優先順位、踏み込みすぎの線引き、迷ったときにどちらへ倒すか、の4点である。書き出してみると、本人も明文化したことのない暗黙知が出てくる。AIへの移管は、業務の棚卸しを兼ねるという副産物を生む。この視点は、DXの文脈で見落とされやすい。
中小企業の実務では、毎日やる業務なら担当者に「判断の観点を5つ書け」と頼むところから始めればいい。月1回の作業なら、自分でやった方が早い。進め方の原則は2つだけで、小さく始めること、分からなくなったらそのまま聞くことだ。書式の作り込みはAIに細かく指示せず、プレーンテキストで内容を出させ、構造化は人間がやる。人間側が同時に扱う作業は2つまでに抑える。明日からの一言は「AIに渡す前に、担当者の頭の中の判断基準を3行で書かせよ」だ。
※ 上記は配信元記事をもとにAIの鬼編集部が要約・再構成したものです。正確な内容は出典元をご確認ください。
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