LLMでもRAGでもない「LDM(Large Database Model)」——データベースの中で学習するAIの仕組み
LLMやRAGなどの流行に乗じて、「Large Database Model(LDM)」という新しい用語が注目されています。これはIBMが2022年にDb2 for z/OS向けに投入した「SQL Data Insights」という機能がベースで、最近になって業界用語として定着し始めました。LDMは一見するとLLMの仲間に思えますが、実は学習対象が全く違います。LLMが人間の書いた自然言語を学習するのに対し、LDMはリレーショナルDBの表形式データ(顧客トランザクションや取引記録など)を学習します。
ここが面白いのは、LDMが「SQLから直接呼べるAI」という実用設計になっていることです。従来は「顧客3668-QPYBKに似ている顧客を見つけたい」と思ったら、データサイエンティストが「年齢」「都市」「購買額」といった列を当てずっぽうで選んでWHERE句を書く必要がありました。LDMは代わりにAI_SIMILARITYという関数を使い、「最も似ている顧客」をモデルが勝手に見つけます。技術的にはword2vec(2013年のGoogle発)をテーブルの1行ずつに適用したもので、LLMの流れを汲むTransformer系ではなく、古典的な共起ベースの埋め込みです。さらに「DBから出さずに計算する」というのが重要で、IBMの謳い文句では「企業データの99%がメインフレームのDB内に眠っているのに、それをわざわざ外に出して分析基盤に突っ込む手間とセキュリティリスクが無くなる」ということになります。ただし今の実装はDb2 for z/OS、つまりメインフレームに限定されており、クラウドやオンプレの一般的なDBで同じ名前のAI_SIMILARITY関数を持つDatabricks、Snowflake、BigQueryのものは、学習済みモデルを「持ち込む型」で、LDMの「作り付け型」とは正反対の設計です。
中小製造業や実務企業がいますぐ導入すべき技術ではありませんが、「SQLから呼ぶAI」の地図が描き直されつつあるという視点は持ち帰る価値があります。データを外に出さずに処理したい、データサイエンティストが「どの列が効くか」を当てずっぽうで決める手間を減らしたい、という要望は現実にあり、それへの答え方が従来のWHERE句設計からモデルベースの類似検索へシフトしているということです。
※ 上記は配信元記事をもとにAIの鬼編集部が要約・再構成したものです。正確な内容は出典元をご確認ください。
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